『短編ベストコレクション2015』徳間文庫。その中の、平岡陽明さんの『床屋とプロゴルファー』という作品に出会った話を昨日と一昨日としました。
それにしても久さん、いいこといいすぎ!
久さんって誰やねん! あっ(怒)! 昨日と一昨日の読んでこいや! とは言えないので、作品のおさらいのおさらいです。
登場する人。
1、プロのインタビュー記事を書く、ライター。
2、そのライターと仲良しのプロゴルファー。
3、ライターの地元の床屋のオヤジ、久さん。
ライターとプロゴルファーは、自分の人生に悩んでいるぼくみたいな人たち。
久さんは、禅僧の修行をして悟りを開いた床屋のオヤジ。
今回予選通過できなければ妻の実家の旅館に婿入りする約束があり、次の予選会をどうしても通過したい、プロゴルファー。腕は良いけど、メンタルが弱い。メンタルトレーニングだ! ふたりが向かった先が、ライターが子どもの頃に髪を切っていた床屋……
というストーリー。
この床屋のオヤジ、久さんっていうんだけど。いくつも言う。わかりやすく説明する。だから前々前世からじゃなくて、前々回は不自善不思悪、前回は主人公を紹介したんです。
今回ご紹介する響いた言葉は、人間本来無一物。
人間は本来、無一物です。自分のものなんて何ひとつない。家もクルマもゴルフクラブも、すべてこの世にいるあいだだけレンタルしてるに過ぎません。それだけじゃない。自分のカラダやココロでさえ、すべては天からの借り物。観光地で半日チャリンコを借りるようなもんです。これを肝に銘じてゴルフしてみてください。
そして人は、時期が来ればその場所で花を咲かせます。(中略)その人にとってふさわしいときに花をつける。これを時分の花といいます。それまでは日々是好日でやってください。
雨の日も風の日も日々是好日。予選落ちした日も親が死んだ日も日々是好日。宇宙の運行からいったら、悪い日なんて一日もありゃしないんです。勝手にこさえちゃいけません。(中略)
日々是好日と、時分の花と人間本来無一物。そうそう、イチモツといえば、試合の日の朝に金玉を冷やすとよろしいでしょう(中略)金玉を冷やせばスッと気が下に落ちてきます。丹田のあたりにね。これで重心が安定する。本当は座禅がいいんだけど、やりきらんでしょ。
どうです? ゴルフをやる男性には特にわかりやすいですよね? ぼくは男でもゴルフしませんけど。
自分のものなんて何ひとつないんだから、うまくいくなんて保証はない。けれどその人にとって最良のタイミングで活躍する時がやってくる。その時が来るまで悪い日なんてない。辛抱強くチャレンジしていればいい。そしていざ勝負の時は腰を据えてドンッといけ!
いやぁ〜久さん。キンタ◯なんていうからドキドキしちゃったよ、こっちは。座禅の変わりだったのね。
今回で久さんのお話はおしまいです。こういう出会いがあるから読書はおもしろい。
それではまた明日。
2017.02.14 1200字@30分