健康と勉強を兼ねて、お風呂で半身浴しながら短編集を読んでいる37歳のおっさんってありですか? 正直ちょっとキモイですねよね。自分でもそう思います。(汗)
こないだまたグッとくる短編に出会いました。
『短編ベストコレクション2015』徳間文庫。その中の、平岡陽明さんの『床屋とプロゴルファー』という作品。
主人公は誰なんだろう? あっ! もしかしてそれも作戦なのか!
まぁいいや。とにかく登場人物は3人。
1、ゴルフ雑誌とかにプロのインタビュー記事などを載せる、ライター。
2、ライターと仲の良いプロゴルファー。
3、ライターが子ども時に地元で通っていた床屋のオヤジ。
ライターとプロゴルファーは、自分らしさと世の中の常識や慣習、正義と悪、みたいなしがらみと葛藤している真っ最中。
対して、妻と娘を自動車事故で亡くした経験から禅僧の修行をして悟りを開いた、床屋のオヤジ。
うだつのあがらないプロゴルファーは、次の予選会をどうしても通過したい。ダメなら辞めて妻の実家の旅館に就職する約束になっているから。自分は腕は良いけど、メンタルが弱い。精神修行をしたいことをライターに相談したら、悟りを開いた床屋のオヤジを紹介されて、ふたりでその床屋に髪を切りにいく……
というストーリー。
この床屋の親オヤジ。久さんっていうんだけど。すごい、いいこと言うんですよね〜。自分の人生とは? みたいなね。それを禅でいうところの難しい言葉を誰にでも分かるように説明してくれる。
特にぼくに響いた言葉。不自善不思悪。
生きていく上で思い通りになることなんて、ひとつもありません。これまで、何かひとつでも思い通りになることがありますか? あると答えた人は、美しい誤解の中にいます。(中略)現実はそうじゃない。(中略)理想通りにいかないことを失敗と捉えます。しかし失敗なんて、この世には存在しないのです。理想というものが決して現実化されることがないようにね。(中略)それを禅では不自善不思悪といいます。いい悪いなんて人間が勝手に思っているだけだぜ、というほどの意味です。(中略)
自分の思った通りにいかないと落胆する。憤慨する。怒る。これは二歳児です。しかしたいていの人はどこか二歳児のまま大人になってしまったようなところがあります。(中略)心の二歳児です。(中略)どうしてあるがままに物事を見られないのか。(中略)
いちいち「しめしめ、これは百%理想だ」とか「あーあ、これは理想度20%だ」と喜んだり落胆したりするのは心のムダ遣いです。だって現実はひとつしかないないんですから。(中略)間違えると、人は一生心のムダ遣いをしながら生きていくことになります。
どうです? グサグサ心に突き刺さりませんか? いい意味で。特にぼくが36歳と2か月でぶち当たった課題がまさに、ぼくの人生って? だったので、心に響いんたんですよね〜。
理想がなければ、失敗もない。失敗もなければ、理想もない。まさに表裏一体というか、表も裏もないというか。あるのは現実だけなのに、その現実をあるがままに見られないのは、自分で勝手にいい悪いと決めているから。という話。
いやぁ〜久さん。深いっす。
この久さん、他にもいいこと言っているので、長くなりそうなので、次回ご紹介しますね。
主人公は誰なんだろう? あっ! もしかしてそれも作戦なのか! と言った意味が次回分かるかもしれません。
それではまた明日。
2017.02.12 1400字@50分